森の中にティピーがたちました。
ティピーをつくることは、山林生活をするにあたって私が以前から思い描いていたことのひとつです。
イメージがまたひとつ形になりました。
ティピーとは?
ティピーはもともとネイティブアメリカン(アメリカインディアン)の住居。
名前は知らなくても、この形を見れば誰でも知るところだと思います。
いままでいろいろなところでティピを目にする機会がありましたが、いざ実際に自分でつくるとなると、構造はなんとなくわかってはいたものの、材料に何を使ったらよいかとか作り方の細かい部分などをもっと明確にしていく必要がありました。
そんななか、とてもグッドなタイミングで自作のティピに住んでいる友達と久しぶりに会う機会があり、そこで材料やつくり方を聞くことができたおかげで、ティピづくりが私の中で一気に現実味を帯びてきました。
たかしくん、いろいろ教えてくれてありがとう!
ティピーの作り方
今回製作したティピーは、友達が教えてくれたつくり方をベースに私のアイデアもちょこちょこおりまぜてみました。
製作行程を見ながら、順を追ってつくり方をご紹介します。
支柱には竹を使用
ティピーの支柱には竹を使用します。
細めのスギを使うことも考えましたが、木は重くて扱いにくいような気がしたので却下。
敷地は約8000坪の広さがあるものの、幸か不幸か竹は一本も生えていないので、まず竹を入手するところからはじまりました。
地元の方に竹を切らせてもらえるところがないか聞いてみたところ、わりと近場にある竹林をこころよく紹介してくれました。
竹はいくらでも生えてきてほとんど放置されているような状態だから、使ってもらった方が逆に助かるということで、何本でも自由に切ってもらってかまわないというお話でした。
竹は軽くて丈夫で扱いやすくいろいろな使い道がありそうなので、繁殖力が強く成長スピードが速いこの無尽蔵の資源がいくらでも使い放題というのは非常にわくわくします。
今回はとりあえず、ティピーの支柱に必要な分だけ切らせてもらいました。
これから先建築などに必要な材を運ぶことを想定して、愛車の軽バンには前もってルーフキャリアを取り付けておきました。
近場なので竹はこのキャリアに乗っけて運ぼうと考えていましたが、竹やぶを紹介してくれたおじさんが私たちの作業を手伝ってくれた上に、結局全部の竹を軽トラで運んでくれちゃいました。
何から何まで、なんて親切なんでしょうか!
本当に助かりました。ありがとうございました。
このあと山の中を数百メートル何往復もして、ティピ建設地まで人力ですべての竹を運びこみました。
外からものを運んできたときは、この作業が付きものです。
支柱の立て方
今回製作したティピーの大きさは、一辺が5.4mの正三角形。
というわけで、まずは2.7mを半径とする円を枝とロープを使ってコンパスの要領で地面に書きました。
支柱は最初にロープで縛りつけた3本を三脚のように立てて、下の端は円のライン上にくるようにします。
安定させるために、だいたいの場所が決まったら私はこの時点で穴を掘って支柱の下は土に埋めていきました。
この時、ロープは十分な長さを残して下にたらしておきます。
最初の3本の間に2本ずつ立てかけていくので、最終的に合計が9本になります。
1本立てかけるごとに、たらしたロープを持って引っ張りながらティピのまわりを一周して支柱を固定し、下は穴を掘って少し地面に埋めるということを繰り返していきました。
このあたりの具体的なやり方は聞いてなかったので、自分で考えながらやりました。
竹の耐久性を少しでも高めるために水はけと調湿効果を期待して、支柱を埋める穴には細かい炭を入れてその上から土をかぶせてみました。
こんな感じで8本の支柱を立てかけていき、入口にする位置の反対側に最後の1本がくるようにします。
上の写真では脚立のあるあたりを入口にする予定だったので、その反対側にあたる奥の最後の1本がまだ立てかけていません。
9本目の竹にはテントをくくり付けて、立てかける時にテントも一緒に上にあげます。
周囲に溝をほる
支柱の場所が決まったあと、私は周囲に溝をほることにしました。
この場所は棚田跡地ということもあってすぐ近くに湿地帯があり、そこから地表付近の土の層を伝って染みだしてくる湿気を溝をほることで遮断するのがねらいです。
もちろん、ティピーから流れ落ちる雨水の受け皿の目的もあります。
支柱の穴のときと同様に、溝には細かい炭をまいてみました。
水はけや調湿効果のほかに、炭はその土地をイヤシロチ化する働きがあると聞いたことがあります。
イヤシロチとは簡単に言うと、気分が良くなり癒されるような清浄な土地のことです。
寺社仏閣の床下の地中から大量の炭が出てくることもよくあるそうです。
イヤシロチ化するにはきちんとしたやり方があって、大量の炭を土地の下に埋設する必要があるみたいですが、このティピのように外周を炭で囲まれた土地はどんな感じになるんでしょうかね。
テントのつくり方
今回の記事を書くにあたり、簡単に設計図をつくってみました。
テントのつくり方はこの設計図を見れば一目瞭然です。
テントには2枚の防炎シートを使用します。
・5.4m×7.2m 1枚
・5.4m×3.6m 1枚
防炎シートはヤフオクで安く手に入ると友達が教えてくれました。
送料を入れても2枚で1万円もしなかったと思います。
アマゾンでも安いのがありそうです。
5.4m×7.2mは1枚をそのまま使用。
5.4m×3.6mは対角線で半分に切断し、5.4mの辺同士を縫い合わせると、設計図の一番下の図のようになります。
上の長い辺の真ん中あたりを、最後の9本目の竹のちょうど良い高さ(下から5.4m付近)になるところに縛り付けて一緒に上げれば、あとはシートを全体に覆いかぶせるだけです。
ティピーの雨対策
ティピの最大の特徴はテントの中で焚き火ができることですが、そのためテントの上の方は煙を逃がすために少し開けておきます。
本格的なティピは天窓にフタがあり、雨が降ったときなどはそれを閉じることができるようになっていますが、友達が教えてくれたつくり方では開閉できる天窓のフタはなく、つねに開いている状態です。
もちろんそのままでは雨が入ってきてしまうので何かしらの対策が必要です。
友達が教えてくれたやり方は、天窓にフタをする代わりに内側にビニールを張り、天窓から降りこむ雨の受けをつくります。
反対から見るとこんな感じ。
ここに入ってきた雨はビニールを伝って下に流れていく仕組みです。
下にいくにしたがってビニールの幅をすぼめていき、最終的に私はテントのすそから外に出して外周に掘った溝に流れるようにしました。
ビニールは、私は仕事先にロールであったものを必要な長さだけゆずってもらいましたが、農業用の資材などで探せば切り売りもあるかもしれません。
これで雨対策はバッチリなように見えますが、このままだと外に出ている支柱の竹の上部の先端から雨が伝ってきて、テント内の竹の節の部分からポタポタ水滴がたれてくるのだそうです。
節がなければ途中でたれずにそのまま地面まで流れていくのだとしたら、これは支柱に竹を使うことによるひとつの欠点とも言えます。
この対策として、竹からロープをたらして、上から竹を伝ってきた水がロープを伝ってビニールの上に落ちるようにします。
友達はさすがティピに住んでいるだけあって、いろいろと考えられていて感心してしまいます。
私はこれにプラスして、ティピの最上部にかさを取り付けてみました。
これで竹を伝ってくる水滴が少しは減るのではないでしょうか。
ビニールがさなので耐久性がちょっと心配です。
最後に防炎シートのハトメを利用してテントをひもなどで閉じれば完成です。
最後の仕上げ
ティピづくり最後の仕上げとして、私はちょっとした遊び心で、周囲のいたるところに落ちている藤(ふじ)の種を9本の支柱の根元に埋めてみました。
藤はつる植物なので、竹に巻きついてくれれば支柱に根が張ったようにしっかりしそうです。
さらにうまく成長していけば、将来竹が朽ちてしまったとしても、藤の木が天然の支柱になってくれるはずです。
藤の成長が楽しみです。
当面のあいだ、ティピーは荷物置き場として使う予定です。
ティピーに住んだらいいのに~、という声が聞こえてきそうですが、小屋ができるまで荷物を置く場所がないので、別にテントを設置してそちらに住むつもりです。
ティピーに泊まりたいと思って遊びに来てもらっても、荷物がいっぱいで泊まれませんのでご注意ください(笑)
追記
ネイティブアメリカンのティピーの正式な作り方は、こちらの本に載っています。
グリーンアロー出版社
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コメント
いいですね!
ありがとうございます。