トイレ小屋完成!大小分離のコンポストトイレをDIYでつくりました

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山林に住みはじめてから5年目にして、ようやくちゃんとしたトイレをつくりました。

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人が日々生活するうえでトイレは確実に必要な設備です。

えっ、いままでトイレなかったの!?と驚かれる人もいるかもしれません。

これまで我が家にはトイレがなかったわけではないのですが、地面にただ穴を掘っただけというかなり原始的なもので、完全アウトドアの吹きっさらし、屋根にしているブルーシートを張る以前は雨の日は傘をさしながら用を足していました。

関連記事:出したモノは土に還る我が家の超簡易青空バイオトイレ

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我が家のトイレは以前ブログにも書いたように、掘った穴に用を足して落ち葉や土をかけます。

穴が便で満杯になってきたらすぐ横にまた穴を掘り、また満杯になったらまた新しい穴を掘るというのを繰り返していました。

半年から一年くらいたてばウンチと落ち葉で満杯になった穴は完全に土になっているので、そのうちまた最初の場所に戻って穴を掘っても問題ありません。

そんな具合で、ある一定の場所がトイレエリアになっていました。

5年分の家族の排せつ物が土にかえったトイレエリアの土は、かなり肥えているだろうと思います。

この方式のトイレはかかる手間といえば定期的に穴を掘るくらいで、仕組みには無駄がありません。

開放感もあるし、自分が自然のサイクルの中にいるということを実感させてくれます。

私個人的には不便なことは何ひとつなく嫌な部分もまったくないので、ずっとこのトイレでも何も問題はありません。

妻もそれほど不便を感じている様子もないのですが、やはり女性には個室のトイレを用意してあげたいという気持ちもあります。

娘もいまはまだ小さいので何も言いませんが、もう少し大きくなってきたら嫌がるかもしれません。

また来客があると、なかにはこのトイレを使用するのはちょっと抵抗がある人もいたりします。

穴掘り式トイレは仮設で、そのうちちゃんとしたトイレを作ろうという計画は移住当初からずっとあったんですが、仮設のトイレでも特に不自由もなく間に合っていたので、ほかのことを優先してトイレ小屋の製作は後回しになっていました。

どんなトイレにするか

どんなタイプのトイレにしようか考えたとき、私の中では二つの選択肢がありました。

ひとつは地下浸透式のトイレです。

排せつ物の処理やトイレのメンテナンスなどになるべく手間がかからないことをいちばんに考えるなら、地下浸透式のトイレがよさそうです。

知り合いから聞いた話を参考に仕組みを簡単に説明すると、はじめに2m四方くらいの大きな穴を掘って、その中に酒屋にあるようなビールケースなどをならべて積み重ね穴の中をいっぱいにして、上から何かでふたをして土をかぶせます。

トイレからパイプを配管し、この穴の中にし尿が流れてくるようにします。

穴の中では水分は地中に浸透し、固形物はビールケースに引っかかりやがて分解されるのだそうです。

地下浸透式ははじめに大きな穴を掘るので人力だとつくるのが大変ですが、一度作ってしまえばあとは日常的な管理も不要らしくトイレットペーパーも流せる水洗トイレとして使えるそうです。

ただ、近くに生活用水として使用している井戸などの水源ががあると、水質に影響が出そうなのが心配です。

もうひとつは自然派トイレの王道、コンポストトイレ(バイオトイレ)。

我が家は収穫量こそまだまだ少ないですが無農薬無肥料で一応畑もやっています。

自分たちの排せつ物が肥料となり、それでできた野菜を食べ、そしてまた排せつ物が肥料になるという無駄のない自然の循環に私はとても魅力を感じます。

水洗トイレが使えて管理に手間がかからないという点で地下浸透式は魅力的ですが、排せつ物を肥料にして野菜を作るという循環の方がやっていておもしろいし私の心をワクワクさせてくれます。

というわけで、コンポストトイレをつくることにしました。

トイレ小屋の建築

コンポストトイレをつくることが決まったら、早速トイレ小屋の建築に取りかかりました。

水平垂直くらいは一応見ましたが、トイレなので多少すき間があろうと少し傾いていようと壁と屋根さえあればいいだろう、というかなり適当な気持ちでつくりました。

廃材がそこそこ集まっていたので、可能な限り廃材だけで、しかもサイズや長さなどもそのまま使えそうなものを選んでつくってみることにしました。

まず、基礎はただ地面に置いて水平を取っただけの、もらい物のコンクリートブロック。

ブロックの下は突き固めたり砕石を敷いたりはしていません。(大丈夫か?)

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その上にほどよい長さの太めの材を二本渡し、さらにその上に大体同じ太さの角材の廃材を並べてみました。

二本の大引きには防腐剤代わりにエンジンオイルの廃液を塗りたくっています。

以前何かに使おうと思って買って使っていなかったL字の金具がいくつかあったので、何本かは金具を使い、それ以外はコーススレッドを斜め打ちして固定しました。

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これがトイレの床になります。

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ここまでは廃材をそのまま使い、のこぎりで切るなど加工は一切していません。

廃材は小屋を解体したものなのでホゾが刻んであるものがあります。

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床の四隅にこのホゾに合うホゾ穴をあけて柱を四本建て、屋根の垂木をのせる桁を渡します。

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垂木は隣地に転がっている切り捨てられた間伐材、屋根には以前にポリカ波板をカットした短い切れ端をつないで使いました。

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壁はいろいろな廃材の板を寄せ集めて貼り合わせました。

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板と板のあいだのすき間は竹でふさいでいます。

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ドアにはもらい物の建具を使いました。

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最後にドアにはペンキを塗り、壁の外側は防腐塗料を塗って完成です。

ひとまず小屋ができあがりました。

小屋の中はこんな感じ。

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右にある箱の上に便座が乗ります。

コンポストトイレといえば木製の便座を使う人が多いようです。

ごく一般的なプラスチックの便座をもし使ったなら妻から、「かわいくない!」とブーイングが起こるのは目に見えているので、私も木製の便座をネットで注文。

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アマゾンでレビューを見ると最初から破損していたとかすぐに壊れたとかどれもあまり評判がよくありませんが、私の手元に届いた商品も固定金具取り付け部を隠すカバーが、本来は本体と一体化しているはずのところがはじめから切れていて分離していました。

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まあ、使用には支障はないので問題はありません。

便座の穴の大きさに合わせて板を切れば、ひとまずトイレの形はできあがります。

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コンポストトイレの仕組み

コンポストトイレをDIYするうえでもっとも知恵をしぼるのは、いかにうまく排せつ物をトイレ内で発酵分解させるか、これに尽きると思います。

コンポストトイレについてネットで調べると、この点で本当にみなさんいろいろと試行錯誤されています。

いろいろなトラブルや失敗例を見ると、なんかめんどくさそうだな~、というのが正直な感想でした。

結局のところ、トイレ内で発酵分解を成功させることにこだわるといろいろな工夫が必要になってくるわけです。

発酵を促進させるために発酵資材としてピートモスやもみ殻、米ぬか、おがくずなどを便槽に入れたり、空気を循環させるために便槽内を撹拌させる、などなど。

うちは製材所でもないし米もつくってないので、おがくずも米ぬかももみ殻もどこかからわざわざ持ってくる必要が出てきます。

何かの副産物としてそういったものが自給できる環境であれば大いに使用したらよいと思いますが、ウンチを発酵させるためにわざわざどこかから持ってきて用意するのはどうも不自然で非効率な感じがします。

それに加えて、穴掘り式トイレで落ち葉と土をかけたうんちが土にかえるのをこれまで5年間見てきたので、「土とか落ち葉を適当にかけとけばいいんじゃないの?」と思ってしまいます。

土の中には多種多様な微生物が存在し、その数は1グラムの土壌に約100~1000万にもなるそうです。

あれこれ考えているうちに、コンポストトイレのひとつの方向性が決まりました。

【基本的にウンチには土とか落ち葉、灰など自給できるものをかける。】

これを採用するためにまずすべきことは、トイレ内での発酵分解にこだわらないことです。

そんなわけで、排せつ物を発酵させる場所をトイレ内ではなく屋外にすることにしました。

畑の近くに発酵場所をつくり、トイレではウンチをしたら土をかけてバケツがいっぱいになったら発酵場所に持っていく、というスタイルです。

理想は便座の下にただバケツを置くだけ。

しかし、ウンチと尿が混ざることで悪臭を放つらしく、ぼっとん便所の悪臭はそれが原因だという話をよく目にします。

いろいろと管理が面倒な感じはしますが、やはりクサいトイレは嫌なので、大と小は分けることにしました。

大小分離式便器のDIY

さて、大小分離式の便器そのものをDIYでつくっている例はネットではあまり見あたらず、あっても採用したいと思えるものがありませんでした。

手づくりするには限界がありそうだと思いながらいろいろと調べていると、なんと海外ではコンポストトイレ用の大小分離便器が販売されていました。

私が見つけたのはこの3種類。

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https://www.freerangedesigns.co.uk/index.php/urine-separator-for-compost-toilet.html

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https://www.kildwick.com/shop/kildwick-klassic/

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http://www.separett.ca/Torrdass-500-ca

検索しているうちに3つの英単語を覚えました。

Urine=尿

Divert=迂回させる、進路を変える

Separator=分離機

この3つの英単語を組み合わせれば、大小分離に関する海外のいろんな情報が検索できますよ。

上の3種類の便器は、どれも便器の下に尿を貯めるタンクとウンチを受けるバケツを置くだけで使えるシンプルなものです。

いちばん上の小の便器だけの方は33ポンド(4800円くらい)と価格も手ごろで、しかも世界どこでも送料無料。

とりあえずこれを買ってみようかと思いましたが、便器の形をよく見てみると、便器下にバケツを置きにくそうな感がするし、小がはみ出しやすそうな感じもするので、思いとどまりました。

ほかの二つはとても使い勝手がよさそうなので、買うならこのどちらかです。

散々迷ったのですが、創意工夫して身の回りのもので代用できないかという思いがまたふつふつとわいてきました。

既製品を見ることができたことで大小分離の便器の形や材質などをいろいろと参考にすることができ、DIYでもなんとかなりそうな気もしてきたので、既製品の便器はいったん保留にして、DIYに挑戦してみることにしました。

手づくりするのは小を受ける便器です。

まず、便器の素材としてイメージしたものは以下の4点を満たすものでした。

・ブラシなどでこすったりして掃除ができる程度に適度な硬さがある。

・汚れてもサッと洗い流せるように表面がツルツルしている。

・小を受けやすく排水しやすい形状をしている。

・加工がしやすい。

結局、素材はプラスチックで底が丸い形状のものが使い勝手がよさそうな感じがしました。

さて、大体のイメージが決まったので、さっそくプラスチック素材の宝庫、100均へGO!

100均には本当に多種多様な形状のプラスチック容器があります。

あれこれ見比べて最終的に私が選んだ品物はこの2つ。

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プラスチックのちりとりとシリコン製のじょうごです。

ちりとりは二件の100均をハシゴして何種類もあるなかから、最終的にこれがベストな形状だと思いました。

これからこの2つを使って便器をつくっていきます。

まずちりとりの持ち手部分をノコギリで、ゴミの入り口側をハサミで強引にカット。

尿が端にかかったときに裏側をしずくが伝っていってしまうのを避けるために、切り口付近をバーナーであぶりやわらかくして、少し折り曲げて返しをつくりました。

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真ん中に穴をあけて、ここから尿を排水します。

ここまではすぐにイメージできたのですが、排水の穴とパイプの連結をどうするかずっと考えていました。

じょうごを使ってどうにかならないかというアイデアはあったものの、プラスチックのじょうごをうまく加工できるかわかりませんでした。

100均でシリコンのじょうごを見つけたときは、「これだ!」と思いました。

やわらかいシリコンなら自由自在に加工できます。

シリコンのじょうごはハサミで切り込みを入れて、ちりとりの裏(穴の裏)にこんな感じで接着。

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うまく接着できるか不明でしたが、瞬間接着剤を塗りたくったらしっかりとくっついてくれました。

すき間があるかもしれないので、念のため外周をコーキング。

これで小便器の完成です。

これを便座を乗せている板に設置します。

掃除やメンテナンスがしやすいように固定せず、スライドして取り外せるようなつくりにしました。

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あとはパイプとの接続です。

当初は台所下の排水パイプをイメージしていましたが、このじょうごの口径だと一般的なホースがちょうどよさそう。

差してみるとサイズはちょうどよいけど、ちょっと触っただけで簡単に抜けてしまいます。

なんか良い方法はないかあれこれ道具箱を物色していると、使わなくなったホースを連結する部材が目にとまりました。

「おお!これだ!」

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簡単に取り外しもできて、しっかり固定もできる。

カンペキです。

尿は液肥にはせず、ホースの先は地中に埋めて浸透させるようにしました。

最後にバケツを設置。

バケツはトイレの外から出し入れできるように扉をつけました。

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これで大小分離式の便器が完成!

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内装仕上げ

廃材のままだとトイレ内が暗い感じがするので、内装は白のペンキを塗って明るくなるように仕上げました。

before

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after

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before

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after

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タオルかけ、トイレットペーパーホルダーも取りつけ。

蛇口もつけたのでトイレ内で手も洗えます。

便器の横に落ち葉交じりの土を置いて、これをウンチをしたバケツの中に入れていきます。

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発酵場所

バケツがいっぱいになったら畑の横につくった発酵場所で堆肥化させます。

雨に濡れて水分量が増えると発酵が滞る可能性があるかもしれないので、屋根をつくりました。

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ウンチを畑にまける状態にするには病原菌を完全に死滅させなければならないらしく、そのためには丸一年の熟成期間が必要だということです。

まだ製作途中ですが、真ん中に仕切りをつけて2区画にする予定です。

一方に一年分のウンチをためて、翌年は隣の区画にためます。

最後にウンチを入れてから一年間を要するので、隣の区画にウンチをためているあいだが熟成期間となります。

一年熟成して堆肥になったウンチを畑にまけばまた場所が空くので、そこにまたウンチをためることができます。

これを繰り返していく予定です。

これでコンポストトイレのすべての設備が整いました。

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とりあえずすべて試作品という感じで、何も問題がなければこのままの状態で使用していくと思いますが、使い勝手が悪かったりトラブルが生じてきたらその都度改良して行くつもりです。

自作した大小分離便器もこれで使ってみて、いまいちな使用感だったら海外の既製品を使えばいいと思っています。

移住から5年。

ようやく我が家にトイレができました。

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コメント

  1. 津山の百姓 より:

    小屋生活者はコンポストトイレを多く見かけますが、こんなやり方も、あるのですね。
    コンポストトイレではヌカを使うのが一般的(?)ですが、籾殻、乾いた土、腐葉土等を使っても良いかと思います。

    • ほまれ より:

      ありがとうございます。いろいろ試してみます!

  2. zengshan より:

    醗酵なら納豆でしょ
    何もかも食い尽くすよ
    それかえひめAI