5年で2回の洪水。川の氾濫対策に石垣の堤防をつくる

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山の中で暮らす我が家では、生活環境を充実させるためにやることがまだまだたくさんありますが、今年は優先して敷地内を流れる川の3カ所に石垣の堤防を築きました。

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我が家の敷地の地形は一言でいえば、谷。

その谷を流れる川のすぐ脇に小屋を建てて暮らしています。

ふだんはせせらぎが心地よいこの川は雨が降ると増水し、雨の量によっては轟音とともに流れる激流になります。

親しくしている近くに住むじいさんの話では、じいさんがこの地に引っ越してきてからの30年間で桁違いの大雨が2回ほどあったらしく、もしそれと同じレベルの雨が降った時は、この川は危険だ、と前から言われていました。

平常時

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増水時

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ここに住みはじめて今年で5年目になります。

これまで、台風が直撃したりゲリラ豪雨のような大雨が降ったりして川が増水し激流になる様を何度も見ましたが、どんなに激しい雨が降っても最初の3年間は川が氾濫することはありませんでした。

はじめのうちは激流になるたびに緊張し、不安を抱えながら川の様子を観察していましたが、増水を何度も経験するうちに、この川はめったなことでは氾濫しないということがわかりました。

ところが、昨年(2017年)の10月。

中国地方を直撃した台風18号の大雨ではじめて川が氾濫。

小屋のまわりも床下もくるぶしくらいまで水に浸かり、あたり一面が川になりました。

参照記事:台風18号の大雨で敷地内の川が氾濫!近くの避難所に緊急避難!

じいさんによるとこの時の雨は、30年で2回あったという桁違いの大雨に匹敵するレベルだったそうです。

これが30年で3回目の大雨ということになれば、少なくとも10年に1回の割合で川は氾濫することになります。

幸い、氾濫しても家が流されたり家の中が水浸しになることはなかったので、絶対に食い止めなければならないというほどでもないのですが、水が流れることで土が削られ、ところどころ崩れたり陥没したところもあります。

これを繰り返せば、小屋が建っている場所の地盤も崩れやすくなる可能性もあるので、できればこれ以上の地形の変化は避けたいところです。

10年に1回の割合とはいえ次またいつ起こるかわからないので、なるべく早めに対策をしておくに越したことはありません。

そんなわけで、今年は春ごろから暇を見つけては少しずつ洪水対策をしてきました。

まずはじめに取り組んだのは排水路の整備です。

我が家は、むかし水田だった土地に住んでいるので、小屋の周辺には水がしみ出して湿地になっている部分があります。

ここの水を逃がすために川まで一本の水路を掘ってあるのですが、台風18号の大雨の時はこの水路では水を排出しきれず、湿地のまわりにつくった土手も超えて水があふれだしました。

これも小屋周辺が洪水になった要因のひとつなので、排水できる量を増やすために水路を2本に増やしました。

これまでは地面にただ溝を掘っていただけでしたが、大量の水が流れると削れてきたり穴が開いたりするので、暗渠パイプを埋めることにしました。

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パイプの径は150mmです。

これを2カ所に埋めました。

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これまでは水路の土が崩れたり、穴が開いたりするたびに修復する手間がかかりましたが、これでその必要はなくなりました。

次の対策は、川が氾濫する場所に堤防をつくることです。

台風18号の時に氾濫する場所が特定できたので、そこに川から拾ってきた石を積んで石垣をつくり、モルタルで固めて頑丈な堤防をつくりました。

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草があるところが川です。

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堤防をつくる予定の場所はこのほかにもあったのですが、ここまでやった段階で平成30年のあの豪雨がやってきました。

西日本に甚大な被害をもたらした7月の豪雨です。

このときは、前年の台風18号並みの大雨が2日間にわたり降り続いたのですが、一日目の時点ですでに川は氾濫しかかっていました。

作ったばかりの石垣の堤防の上ギリギリまで水が来ていたので、堤防がなかったら一日目にしてすでに氾濫していたところでした。

平常時

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増水時

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天気予報で一時間ごとの予想雨量を見ると、次の日の晩も尋常じゃない量の雨が降る予報でした。

川が氾濫するのは明らかだったので、我が家は早々と避難しました。

そしてその夜は、数十年に一度の大災害が起こる危険性があるときに発表されるという「特別警報」が岡山にも発表されました。

一夜明けて、雨が弱まった早朝に家に戻ると、最盛期よりは水は引いているものの依然として上流で川は氾濫している様子でした。

この日もあたり一面川になった形跡があり、いろんなところで土が削られて崩れたり、陥没しているところもあったりしていましたが、幸い小屋は何事もなく、すぐにふだん通りの生活に戻れる状態でした。

この時は、いろんな方から安否確認のメッセージをいただきまして、ありがとうございました。

平常時

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増水時

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桁違いの大雨は10年に一度だから次に川が氾濫するのはまだまだ先だと油断せずに、優先して対策をしはじめたところに今回の豪雨がやってきて、ますます油断できないという思いが募りました。

早朝に家に戻った時に、氾濫している川をリアルタイムで観察できたので、堤防が必要な場所が一目瞭然でした。

「むかし田んぼだった土地だから、わざと川から水が入りやすいような形状につくられてるんじゃ」とじいさんが言うように、氾濫水位になると決まった場所から何の抵抗もなくどんどん水が陸に流れ込んできます。

平常時

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増水時氾濫中(真ん中あたりにある岩より左は陸)

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氾濫したときに陸に流れ込む水の量がもっとも多いのがこの場所です。

ここに堤防をつくりました。

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この場所は小屋よりも上流にあり、ここで氾濫した水が小屋の周囲まで流れ込んでいたと思われます。

これでこの場所が氾濫するのは防げるようになったと思いますが、ひとつ心配なのが、これまでここから陸に流れ込んでいた大量の水が堤防をつくったことで川を流れるようになり、その結果ここから下流の川の水位がさらに上昇してしまうということです。

水位の上昇によってもっとも氾濫の危険性があるのがこの場所です。

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これはいちばんはじめにつくった丸太の橋ですが、すぐ近くに別の橋をつくってからはほとんど使うことがなくなってしまいました。

参照記事:小屋のまえの川に石垣を積んでDIYで橋をかける

7月の豪雨の増水の後、この橋の上に砂利がたくさん転がっていました。

おそらく、この橋の上まで川の水が上がってきたということだと思います。

つまり、すでにここも氾濫していたということです。

水位の上昇によりここからあふれ出る水の量が増える可能性が高いので、ここにも堤防をつくることにしました。

橋が流され川が詰まる危険性もあるので、これを機に橋は撤去しました。

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写真ではわかりにくいですが、ひとつひとつの石は大きくかなりの重量があって、川から拾ってきて積み上げるのに腰や腕に結構負担がかかりました。

ほかにも心配な場所はありますが、洪水対策の第一段はひとまずこれで様子を見てみようと思います。

30年に2回あったという桁違いの大雨が2年連続で起きたという話をじいさんにすると、「もう、異常じゃ」と言っていました。

「記録的な○○」「観測史上○○」という言葉がめずらしくもなんともない近年の気象状況では、じいさんの言う30年で2回という過去のデータはもはやなんの参考にもならなくなっていると言ってもいいのかもしれません。

もしかしたら、桁違いの大雨がこれからは毎年降るかもしれないし、一年に2回、3回降ることもあるかもしれません。

この土地で安全に快適に末永く暮らすために、これからもコツコツと環境整備をやっていこうと思っています。