子どもの頃、食事中にテレビに熱中して箸が止まってしまい、母親にテレビを消された経験があるのは私だけではないと思います。
子どもにかぎらず、食事中にテレビを見たり、ケータイやスマホを見たり、何か考え事をしながら食べている人は多いのではないでしょうか。
何か食事以外のことをしながら食事をしていると、そのことに集中してしまい、今自分が食事をしているということに気づきにくくなります。
マインドフルネスとは、今ここ、この瞬間に気づいている状態を言います。
食事をしている時なら、自分が食事をしていることにしっかりと気づいているということです。
自分の口に今何が入っているのか、それがどんな食感で、どんな味なのかといったことにはあまり意識が向いてないのではないでしょうか。
マインドフルネスな食事というのは、箸でご飯をつまんで口に入れ、それをよく噛んでじっくりと味わい、飲み込んで食道を通って胃に至るまで、一つ一つの行動に気づきながら食べることです。
私は、僧侶の山下良道さんが主宰する、鎌倉一法庵の接心に何度か参加したことがあります。
一法庵の接心では、朝と昼、一日二回の食事があり、マインドフルネスで食べることを実践するのですが、せっかくなので簡単にそのやり方をご紹介します。
まず食器は、左からごはん茶碗、汁の入ったお椀、おかずの取り皿の順で並べます。
食べ物を口に入れたら、箸は真ん中のお椀の上に置き、手はひざに置きます。
人によっては、口の中で起こっていることにより意識を集中させるために、噛んでるあいだ目をつぶって食べる人もいます。
口の中に食べ物がなくなったら、また箸を手にとって食べ物を口に入れます。
これが一連の流れです。
食事中、何か別のことをやりながら食べていることが多い人は、食事中の動作一つ一つとまでは行かなくても、食べ物を口に入れて、噛んで飲み込むまでのあいだだけでも、口の中で起こっていることに一度意識を集中して食べてみてください。
味覚が繊細になり、食感や味を鮮明に感じとることによって、食べ物がより美味しく、より味わい深くなることに気がつくと思います。
目をつぶって食べるとさらに繊細になります。
料理好きな人やグルメな人でしたら、食べているものの味に集中して、その食材やどんな調味料を使っているかといった部分まで味わって食べている人もいると思いますが、たとえば私のように食に対してそんなにこだわりもない人などの場合、大抵はざっくりと味わってる感じだと思うので、マインドフルネスで食べることで、より繊細な食感や味覚の世界に気づくことができると思います。
ためしに大好物の食べ物を何かやりながら食べたときと、マインドフルネスで食べたときと比較してみると、その差は歴然です。
ところで、昔ながらのラーメン屋さんにはテレビが置いてあるところがけっこうあります。
テレビがあることでお客さんの意識はテレビに行きがちになりますので、もしラーメンを本当に味わって食べる環境をつくるなら、お客さん意識をより食事に集中しやすくさせるために、テレビはない方がいいのかもしれません。
テレビがあるラーメン屋さんの雰囲気は、私個人的には好きなんですけどね。
コメント
接心の時は本当に美味しいですよね。
忙しい時はなかなか出来ないですけど。