結局いつ切ればいいの?木や竹の伐採時期を表す言葉「木六竹八」の解釈

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早いものでもう師走。

我が家の落葉広葉樹の山はすっかり葉を落としました。

このタイミングを見計らって、さっそく今年も何本かの木を切り倒しました。

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木を切る時期

私が以前山仕事のやり方を学んだ炭焼きの現場では、炭の原木となる木を切る時期はだいたい葉が落ちた11月下旬ころから、新芽が芽吹く前の3月下旬くらいまででした。

この期間は木が水分を地中から吸い上げていない休眠期で、炭を焼くには水分の少ないこの時期の木を使うのが何かと都合がよいというのがその理由です。

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ちなみに、シイタケ栽培などの原木にする木もだいたいこのくらいの期間に伐採するのがよいといわれています。

これは落葉樹の話で、スギやヒノキなどの針葉樹のことはよくわかりませんが、いずれにしろ木が水を吸い上げていない時期に伐採した方が乾燥がはやく、虫食いやカビなどの害も少なく、建材として使う場合でも何かと都合がよさそうに思われます。

そんなわけで、どんな用途に使うとしても基本的に木の伐採は休眠期の冬が適しているというのが一般的だと考えていました。

木六竹八とは?

木や竹の伐採適期を表しているといわれる「木六竹八(きろくたけはち)」という言葉があります。

正確には、「木六竹八塀十郎」というそうですが、木は六月、竹は八月に伐採し、土塀は十月に塗ると長持ちする、という意味の古くからある言葉なんだそうです。

木は六月に切るのがよい?

どいうこと?

古い時代からの生活の知恵はとても合理的で、感動してしまうこともよくあります。

しかし、私の理解とは真逆の季節に木や竹を切れと教える「木六竹八」という言い伝えには、疑問符が付きまとって仕方ありません。

木六竹八の解釈

私が「木六竹八」を知ったのは、何年か前に竹の伐採時期を調べていたときです。

竹の伐採時期は、「11月~2月」、「11月、12月」、「お盆明け~12月」など人によって言うことがいろいろですが、だいたい秋から冬にかけてというのが通例のようです。

やはり竹が水を吸い上げなくなる休眠期というのがその理由で、この時期に切った竹は材質が締まっていて、虫が入りにくく長持ちすると言われているそうです。

「木六竹八」は昔の言葉なので、六月や八月といってもそれは旧暦での話。

旧暦は毎年少しずつずれていきますが現在の暦ではだいたい、木は七月~八月、竹は九月~十月といったところでしょうか。

現在の暦になおしてみると、竹の伐採時期は許容範囲内に入ってきた感じもします。

しかし、それでもまだ木の伐採時期は疑問が残ります。

いちばんの疑問は、木も竹も成長が止まる休眠期に伐採するのがベストなのだとしたら、なぜ冬に切らないのか。

なぜ、木を切るのは七月、八月なのか。

この先人の言葉にすっきりとした理由を見つけるために、いくつか解釈を試みてみることにしました。

1、 「木六竹八」は伐採適期ではなく、伐採してはいけない時期

この解釈はYahoo知恵袋で、「木六竹八」に関しての質問の回答に掲載されていました。

そしてなんと、「伐採に適さない説の方が納得できる」という理由でベストアンサーに選ばれていました。

参照:Yahoo知恵袋

その気持ちよくわかります。

ただ、竹を9月、10月に伐採してはいけないと解釈するとなると、これまたいまいちすっきりしません。

2、「木六竹八」は伐採適期ではなく、伐採開始期

「木六竹八」が伐採するのにベストなタイミングと言われるとどうしても疑問が残りますが、伐採をはじめてもよい時期を意味しているのだとしたら、木が七月でもありえない話ではないような気がします。

3、「木六竹八」は伐採適期だが、材の用途、目的が違う

木が水を吸い上げていない休眠期ではなく、あえて水を吸い上げている時期に切るのがよいと解釈することもできます。

水を吸い上げている時期に切るメリットをあげるとすれば、皮がむきやすいことです。

私も炭焼きの仕事をしていたときに伐採が間に合わず、4月に入って新芽が出てからも伐採していたことがありますが、ちょっとした衝撃で木の皮が大きくはがれてしまうことがしばしばありました。

そして、むけた木の表面は水分が多くきれいで、この時期の木は冬の木とは明らかに様子が違います。

私が学んでいた炭焼きは木の皮がついていることに価値があったのでこれではダメですが、スギやヒノキなど針葉樹で建材として利用する場合はまた話は違ってくるかもしれません。

皮がむきやすいことのメリットとしては、木の表面を傷つけずに皮がむけることです。

昔は木の表面の美しさを重要視していたという話もあるようです。

また、杉の皮を屋根材として利用することも多かったはずで、専門的なことはわかりませんが、一度に広い面積でむけた皮の方が屋根材としては使い勝手がよさそうにも思えます。

こうしたことを考えると、あえて水を吸い上げている時期に切るという解釈もありえなくはなさそうです。

4、「木六竹八」は伐採適期

「木六竹八」を伐採適期とした場合、納得のいく理由付けを素人の私なりに強引にしてみます。

木が水を吸い上げる成長期が終わり、これから休眠期に入るちょうどその境目が伐採適期だと仮定します。

木の皮がむきやすいという成長期の利点と、木材の耐久性や乾燥のしやすさなどの休眠期の利点の良いとこ取りができるのではないか、というのがその理由です。

もしそれが可能で、その時期を先人のこの言葉が伝えているとしたら、感動ものです。

どっちつかずで何のメリットもなくなる可能性も大いにありますが。。

以上、4通りの解釈をしてみました。

ごちゃごちゃといろいろ書きましたが、ある限定された樹種、用途にたいして使われていた言葉が、時間の経過とともに普遍的な意味合いになってしまったのではないか、というのが最終的な私の考えです。

最後に、木や竹に職業として関わっている現代のプロフェッショナルの方たちのホームページやブログから、伐採時期が書かれている部分をいくつか引用させていただこうと思います。

●木の伐採時期

伐採の時期は、9月から3月の、木の成長の休止期に行うのが最適といわれていますが、最近では乾燥技術の進歩等により、年間を通じて伐採されています。

株式会社山長商店

私が木材業界に入った時に木を伐採する最良の時期は「秋の彼岸から春の彼岸まで」と教わりました。

むしろ6月は木が沢山水を含んでいる時期なのでこの時期に伐採することはあまりなく木が早く腐りやすく丸太の状態でも虫が入り製材して削っても油が少なく色の良くない水揚の木として最も悪い時期と教わりました。

銘木小僧

伐採時期は、杉の場合7月~8月、そして11月~12月。

桧の場合は3月~4月、7月~12月で、特に桧の材質の特に良い物は、10月~11月に行っています。

吉野中央木材株式会社

いつ伐るかによって色、艶、腐朽、カビ、害虫に対する抵抗力など、多くの点で木の耐久性は異なってきます。

では、いつの時期に伐ると良いのでしょうか?

それは、木の成長が止まる秋から春先までです。

永森建設株式会社

●竹の伐採時期

私の場合、竹切りはその年の8月の盆が過ぎて下旬位からぼちぼちと(1年生の成長具合を確認します)、そして遅くとも年内までです。

竹かご・竹ざる

竹の伐採に適した時期は、竹自身の水揚げが止まる秋口~冬です。

竹炭のある日々

どのホームページ、ブログも興味深い有益な情報が多くとても参考になります。

で、結局いつ切ったらいいのか?

私の場合、竹はいつでも気軽に取りに行けるので、朽ちたらまた取りに行けばよいという消耗品感覚で、時期は気にせず使いたいときに使いたい太さのものを使いたい量だけ切りに行っています。

そして、木はやっぱり12月から3月ですね。

木や竹にお詳しい方!

伐採時期や「木六竹八」に関することなど、どしどしコメントお待ちしております。

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コメント

  1. 元農家 山ちゃん より:

    製材と炭用では時期が違うのかなぁ〜と、読んでいて思いました。

    竹ですが、孟宗竹は8月です。
    三年目の物を伐採しています。
    この時期に切ると硬くポロポロとならず、長持ちします。
    それ以外の竹は秋〜冬とおそわりました。

    木は冬。クヌギなどの椎茸用原木はこの時期に切ってました。炭用も同様です。

    • ほまれ より:

      元農家山ちゃんさん

      コメントありがとうございます。

      たしかにスギやヒノキなどの建材用途の針葉樹と炭の原木では、樹種も用途も違うので切る時期が違うこともあるかもしれませんが、ネットで調べてみた限りでは、建材用途のスギやヒノキでも「伐採時期は秋から冬がベスト」という情報が多く見受けられます。

      なのでなかなか疑問が解消しないんです。

      孟宗竹は8月ですか。
      木六竹八の竹八は孟宗竹のことなんでしょうかね。

      >三年目の物を伐採しています。
      >この時期に切ると硬くポロポロとならず、長持ちします。

      こうした実体験による生の情報はとても貴重です。
      ありがとうございます。

      孟宗竹だけ8月で、それ以外の竹は秋〜冬というのもおもしろいですね。

  2. うり坊 より:

    誉さん、ご無沙汰です!
    久々のブログ更新ネタ、考えさせられました。
    私は木や竹のプロではないですが、私も日々の生活に自然から木や竹を活用させてもらっている者としてコメントします。
    確かに「塀十郎」はすぐに納得するとしましても、「木六竹八」は??となりますね。
    昔は「採り旬」というのを守っていましたが、機械文明が発達した今、大量生産が要求される資本主義社会である今、「採り旬」は軽んじられていったのだと思います。
    要するに水分含量が多けりゃ乾燥機にかけて、調整すればええんじゃーできたわけです。
    しかし無垢材とつきあってますと、面白いことに同じ乾燥材でも明らかにカビやすいものとカビにくいものがあります。同じく白蟻がつくものとつかないものがあります。
    これは「採り旬」を無視したり、「急速高温乾燥」させたりするのが要因ではないかと思います。(現在では製材所によっては生き残りをかけて、「採り旬」や自然乾燥に近い「中温低速乾燥」を謳い文句に頑張っているところもありますが)
    さらに言ってしまえば、木や竹を建材としての使い勝手しか見ないで「乾燥!乾燥!」と言っている現代人と、「木六竹八」時代の先人とでは、見る世界観があまりにもかけ離れているのではないかと思うのです。
    因みに「木六竹八」の類義語に「木七竹八」という言葉があります。
    旧暦の七月は新暦の八月~九月となり、誉さんも許容範囲に入ってくるのではないでしょうか。
    まぁ正直、木は種類がありすぎてまとめられないというのもあるでしょうし、地域によってもずれがあります。私が繰り返し「木六竹八塀十郎」と言っているうちに感じたそもそもの疑問は、これは「伐採」だけではなく「剪定」もはいるのか?ということです。
    「迎え盆」のために造園屋さんや植木屋さんは、盆前に「剪定してくれ!」と頼まれますが、知人の植木屋さんは樹種によるけど盆が過ぎてからの剪定が本当はいいけどと言っておりました。(成長が止まるため)

    「木六」「木七」の私の見解は、木こりさんの伐採開始時期ではないかと思う一方で、やはり木は種類が多く厳密には違うが、イントネーションをよくするために付けたのだとも思います。(cf. 木元竹末 )

    しかしそれに比べて竹は種類があっても、そんなに特性は変わらないと思いますので、「竹八」の言葉は重みがありそうです。
    木にしても竹にしても言えることですが、採ったら仕舞いではありません。次のことを考えて再生していかなくては資源はなくなってしまいます。
    竹は一本一本独立して立っているようですが、実は地下茎でつながっています。なので親株を切ってしまうと、竹林は廃れていくので注意が必要です。
    竹は晩秋~着々と次世代の子である筍の準備をします。なので、エネルギーが次世代に行っている冬に竹を切ってしまうと、竹林が弱るからではないかと思います。

    • ほまれ より:

      うり坊さん

      お久しぶりです。
      長文コメント嬉しいです(笑)

      木が七月ではなく八月であれば、伐採開始時期というのもうなずけます。
      というのも、山の中に住んで毎日木を見ていますが、なかには八月に入ると実際にお盆を過ぎたあたりから紅葉がはじまり、葉が落ち始める樹種もあるんです。
      紅葉がはじまり、葉が落ちるということはその木が水分を吸い上げなくなっているサインでもあるので、お盆過ぎくらいが伐採開始時期というのはわからなくもないです。
      でも、七月はどの木もまだ青々としているように私には見えます。

      同じ乾燥材でもカビにくいものとカビやすいものがあるというのは、そのとおりだと思います。
      なんでなんだろう?と思っていましたが、伐採時期と関係があるという見方は、なるほどですね。

  3. しおから より:

    ブログ楽しく読ませていただきました。木六は川を使った運搬(木流し)が理由だと思います。現代とは大きく環境が違ったため、大きな運搬は水運が中心でした。小さな川を利用するのには水量が必要なため梅雨時期が適しています。また工具も一部の名工を除き今ほど素晴らしいものではなかったはずです。加工も水分をふくんでいたほうが加工しやすかったのでしょう。カビに関しては昔は囲炉裏によるススかけで天井はだいたい真っ黒だったのでカビにくかったはずです。あってるかはわかりませんがご参考に。

    • ほまれ より:

      コメントありがとうございます。

      なるほど、川の運搬ですか。それはまったく考えもしなかったです。
      とても参考になりました。ありがとうございました。

  4. カナガワ より:

    土地探しでお世話になりましたカナガワで〜す。ブログ拝見させて頂いてま〜す!!
    興味深い記事が沢山あってとても楽しく読ませていただいています!

    木の伐採についてですが、その昔実家の木を親父とノコギリで切ったことがあります。
    その時は7月くらいでした。

    それで、今になって木は乾燥した冬に切るものじゃない? と言ったら、
    乾燥したら硬くて切れたもんじゃないと言っていました。
    親父はただの農村育ちの素人ですが、小さい頃から家の手伝いで木を伐採していました。
    祖父はそうして切り出した木で実家を建てました。今だに丈夫に建ってます。

    親父は木は水分を含んだ方が切りやすく、乾燥も水を入れながらゆっくり乾燥させれば割れもないと言っていました。材木のプロではないですが民間療法的? な伐採の知恵なのかなと思いました。現代ではノコギリではなく、高性能なチェーンソーもありますし、切りにくさよりも材木の質を優先するのですかねー。

    • ほまれ より:

      金川さん!コメントありがとうございます。
      そういった生活の中での実体験の話はとても説得力があり、とても有益な情報で、大変参考になります。
      なるほど、そんな理由もあったんですね。

  5. アキホ より:

    昔は、手作業、現代は機械化だからじゃないのかな。7月~8月ぐらいが伐採がいいという意見は、木の皮が綺麗に取れやすいからだと思うけどね。昔の大工の仕事で最も大変な作業の1つが木から皮を取り除くのが一番大変だったはずだよ。木の皮の中には、屋根に使用したり外壁に使用したりと用途があったから上手に皮を取り除く必要性もあったはずだよ。