明治神宮の鎮守の杜は、100年前に計画された人工林だった

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東京の憩いの場所としても親しまれている明治神宮。

人でごった返した原宿駅から歩いて間もなく、うっそうと生い茂る木立に覆われた大鳥居をくぐると、さっきまでの都会の喧騒がピタッと消え、気持ちよく清々しい空気に包まれた広い参道が森の奥へと続いている。

鎮守の杜と言うに相応しい、あの明治神宮の森。

今まで考えたこともありませんでしたが、実は今から100年近く前、緻密な計画のもとに人の手によって作られた人工の森だったということを最近知り、とても興奮してしまいました。

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この話の詳細を調べてみたところ、なんとナショナルジオグラフィック(日本版)の特集記事を発見。

日本人がつくった自然の森――明治神宮「鎮守の杜に響く永遠の祈り」 | ナショナル ジオグラフィック(NATIONAL GEOGRAPHIC) 日本版公式サイト

今の明治神宮がある場所は、もともとは畑や草原や沼地が広がる荒れ地だったそうですが、明治神宮の建設地となったことで、森の造成計画がスタート。

計画を作成した、林学や造園のエキスパートたちが何よりも重要視したのが、永続的な森をつくること。

そのため、もともとこの地方に存在していたカシ、シイ、クスノキなどの常緑広葉樹が主木として選ばれ、手入れのいらない自然林に近い状態をつくりあげる構想が練られました。

当時の首相、大隈重信が、「明治神宮の森も、伊勢神宮や日光東照宮のような荘厳な杉林にすべきである。」と学者たちの計画に異を唱えた場面もあったそうですが、明治神宮の建設地が杉の生育には向かない土壌であることを科学的に説明して、理解を得たんだとか。

100年近く経過した現在、明治神宮の森は、主木が自ら世代交代を繰り返す「天然林相」に達しつつあるそうです。

明治神宮の森は、人は荒れ地から自然林をつくりあげることができるということを証明したわけです。

しかし、日本に多く存在するスギやヒノキの人工林に象徴されるように、お金としての利益や材としての利用目的だけで木の価値を計るなら、けっしてこのような森が増えることはないでしょう。

もちろん木材を供給する森は必要なわけですが、一方で、忘れてはならないのは、手入れを必要とせず天然更新していく自然林としての森を、一本一本の木ではなく、森全体として価値を見出すことだと思います。

そのためには、目先の利益だけでなく地球規模での恒久的な利益に目を向けることが必要なのではないでしょうか。

そういう視点で見たとき、こうしたある意味実験的な森が乱伐の危険性の少ない「鎮守の杜」としてこれから先も更新を繰り返しながら残っていくことを考えると、地球の将来にもひとつの希望が持てるような気がします。

明治神宮に行った際には、森の観察も楽しみのひとつになりそうですね。

コメント

  1. ちさと より:

    明治神宮、東京に住んでる時の1番お気に入りの場所だったなぁ~( ´ ▽ ` )
    天然更新していく森を人間は作れるんだ!
    大阪辺りにもあったらいーねぇ~♪