去る2014年11月5日。
この日、夜空に上がった月は「ミラクルムーン」と話題になっていましたが、その月明かりで写真を撮ってみました。
ミラクルムーンとは?
まず、この日の月の何が「ミラクル」だったのか。
これは旧暦と関係しています。
日本では旧暦8月15日の十五夜(中秋の名月)、旧暦9月13日の十三夜にお月見をする風習があります。
通常、一年にお月見をするのは名月といわれるこの2回だけなんだそうですが、今年はそれが3回あって、その3回目が先日の11月5日でした。
なぜお月見が3回あるのか。
現代の暦が太陽の運行を基準にしているのに対して、旧暦は月の満ち欠けが基準となっています。
月の周期で一年12ヵ月を毎年繰り返していると、そのうち季節にずれが出てきます。
現代の暦でも4年に一度一年が366日になる「閏年」がありますが、旧暦ではだいたい3年に一度一年を13ヵ月にすることでその季節のずれを修正していたそうです。
ちなみに、この年に挿入された月を「閏月」といいます。
「閏月」が何月になるかはその時によって違うみたいで、旧暦では今年「閏月」が挿入される年で、今年は「閏九月」が挿入され、9月が年に2回ある年なのです。
つまり、名月といわれる9月13日の「十三夜」も2回あるというわけです。
この「閏九月」の十三夜を「後の十三夜」といって、昔の人は3回目のお月見をしたんだとか。
それが今年2014年11月5日だったというわけです。
さらに、この「後の十三夜」がある年はなんと江戸時代の天保14年(1843年)以来、実に171年ぶり。
ちょっと説明が長くなりましたが、これが「ミラクルムーン」と騒がれていた理由です。
月明かりで写真を撮影
さて、この日多くの人が月を見て月の写真を撮ったと思いますが、私が撮ったのは月ではなく、その月明かりに照らされた周囲の風景です。
森の樹木
現在の生活エリア
月の木漏れ日
建築中の小屋
ソーラーパネル(発電はしていませんでした)
月の明るさ
私は電気も水道もガスも引いていない山の中で、今は住居とする小屋を作りながらテントで生活しています。
はやい話、毎日がキャンプなわけです。
夜になるとランタンで明かりをとり、何をするにもヘッドライトが欠かせません。
こういう環境では、夜空に浮かぶ月は山の中を照らす立派な光源となってくれます。
たとえ月がまだ低い位置にあって木の影に隠れて見えなくても、夜の周囲の明るさで今の月の満ち欠けのだいたいの状態を知ることができます。
月が満ちてくると、夜トイレに起きたときなどヘッドライトがなくても支障がないほど山の中は明るくなっています。
私がまだこの生活をはじめる以前、長野県は大鹿村という山奥の村に数ヶ月滞在していたときの話。
その年はちょうど大晦日が満月で、雪が積もった山道を歩いて初詣に出掛けたのですが、雪の白さも手伝って山の中はそれはそれは明るく、街灯もなにもない山道を行きも帰りもライトを一切使う必要がないほどでした。
これは私が月の明るさに感動した大変印象に残っている思い出です。
今は日々の生活の中で、月が照らす周囲の明るさに感動しています。
今回私が月明かりで写真を撮ったのは、「月の明るさ」の感動を伝えたい!と思ったかったからです。
昔の人は月明かりで本を読んでいたなんて話を思い出し、ものは試しということで月明かりの下で本を広げてみました。
よ、よめる!
じっくりと見る必要はありますが、ライトも何もなしで、月明かりだけで本が読めました。
月の存在感
街では街灯があるのが当たり前ですし、夜は電気をつけて電気の明るさの中で生活するのが普通です。
ただ、夜が明るいと、月は存在感を失います。
昔は電気などなかったわけで、暗い夜に月はそれだけ存在感があったはずです。
名月という言葉があるのは、いつも同じように見える月の微妙な違いを、昔の人は感じとることができたからなのかもしれません。
ちなみに、次回「後の十三夜」でお月見できるのは95年後、2109年だそうです。