玄関と屋外キッチンの屋根が完成しました。
屋根を付ける計画は家づくりの当初からあったのですが、なかなか時間が取れず、ようやくの完成です。
我が家は玄関を出たところに屋外キッチンがあります。
ここは春から秋にかけての暖かい季節は、食事やお茶など、日常よく利用する生活空間でもあります。
これまでこのスペースは、ブルーシートタープをはって簡易的な雨除けの屋根にしていました。
簡易的な仮の屋根といいながらも、はってから早いもので2年が経過。
紫外線による劣化はもちろんありますが、冬には夜中に積もった雪の重みでロープを結んでいるハトメ部分がちぎれてシートが落ちてきたり、家の前の木を切った時に下敷きになったほかの木がシートを直撃してビリビリに裂けたりして、もうシートはボロボロ。
屋根をつくる予定だったので、新しいシートには替えずにガムテープで補修したり、裂けたところはシートを二重にしたりしてなんとか使ってきましたが、いろんなところから雨漏りもしていて、さすがにもう寿命でした。
屋根づくりになかなか取り掛かれなかったのは、時間が取れなかったというだけでなく、ほかにも理由があります。
日あたりをよくするために切りたい木が家の前に何本かあったのですが、屋根を作ったあとだと倒れた木があたって屋根を破損してしまう可能性があったので、屋根をつくる前に切っておきたかったのです。
木の伐採は秋から冬にやるようにしているので、時期を待って切る必要がありました。
切りたい木は何本もありますが、切ったら屋根にあたる可能性のある木はこの冬に切っておきました。
案の定、切った木の下敷きになった木がブルーシートを直撃する結果となったので、屋根をつくる前に切っておいて正解でした。
壁付け屋根
さて、屋根は水上(高い方)を直接家の壁に付ける壁付け屋根にしました。
カーポートや洗濯物干し場などの屋根をこの方法で作っている住宅をときどき見かけます。
この方法だと、柱と束石の数が少なくてすむので、それだけ手間と材料が省けてつくるのが楽です。
それでは、製作工程を順番に見ていきましょう。
垂木をのせる壁付けの棟木は、2×6材と2×4材を重ねて厚みと強度を出しました。
屋根の面積を広げるために、棟木は壁から延長して張り出しています。
張り出した部分はそれなりの長さ(2400mm)があり、これで垂木を支えるのは強度に不安があるので、柱を一本立てました。
柱に使用した材は家の周りでこの冬に伐採した広葉樹を使用。
自然な曲がり具合もなかなか気に入っています。
柱と束石
次は、壁とは反対側に2本の柱を立てます。
今回屋根をつくるにあたって合計3本の柱を立てましたが、すべてこの土地で伐採した広葉樹です。
柱をのせる束石は、いつもいろいろとお世話になっている近くに住むじいさんにいただいた、その昔物干し台に使っていたという年代物の束石です。
柱の製作は、まず皮をむくところから。
皮をむく道具をもっていないので、いつもナタでむいています。
皮をむいたら、柱の下になる部分には束石の穴に合うようにチェンソーで大雑把にホゾをつくります。
上側にはチェンソーとノミを使って軒桁をのせる部分に欠きこみをつくります。
皮むきもホゾづくりも、すべて大雑把です。
柱はとりあえずしっかりと立ってくれて、屋根を支えてくれればよいので、これでOKです。
2本の柱が立ちました。
軒桁(のきけた)
続いて2本の柱の上に垂木をのせる軒桁を渡します。
軒桁には2×6材を使用。
長さは5500mmくらいほしかったのですが、1本でこの長さの材はホームセンターにはないので、最長の12f(3640mm)に延長して6f(1820mm)をつなぎ合わせました。
接合はホゾや欠きこみはつくらず、端材を使って3方向からこんな感じに固定。
適当ですが、たぶん大丈夫でしょう。
柱以外はすべてホームセンターで買ってきた材料です。
屋根の下なので腐食の心配はないと思いますが、私はツーバイ材などの木そのままの色で作った工作物は屋外ではどうもダサく見えてしまうので、すべてウッドデッキ用の塗料をぬりました。
垂木
垂木には2×4材を使用。
ほしい屋根の長さに12fの材がそのまま使えたのでよかったです。
垂木の間隔はいろいろ迷いましたが、最終的に600mmにしました。
455mm間隔ほどの本数は必要ない気がして、かといって910mmでは広すぎるということで、そのあいだを取った感じです。
垂木の固定は、両側から斜めに直接コーススレッドを打ち付けて、さらに金具も使用しました。
この金具は家づくりのときに使おうと思って買ったものの、結局使わずに余っていたもので、無駄な買い物にならずこうして活用できてよかったです。
手間がかかって面倒なので、垂木をのせる場所にも垂木にも欠きこみはしていません。
家づくりのときもそうでしたが、垂木がのると一気に屋根らしくなります。
桟木
垂木がすべてのったら、こんどは波板を固定するための桟木を取り付けていきます。
今回の屋根づくりで、もっともあたまを悩ませたのが桟木の長さの計算です。
桟木は1本が3640mmある長いものを用意しました。
最初は1列に1本半(5460mm)使う計算で、まったく端材を出さずに無駄なく使える予定だったのですが、これだと棟木や軒桁が少しはみだしてしまい雨ざらしになってしまう部分ができてしまうことが発覚。
雨ざらしでは腐食してしまうので、できればすべて屋根の下になるようにしたいのです。
そうすると、1列1本半では足りません。
必要なぶんだけ長くカットすればいいだけの話なのですが、私にはなるべく端材を出したくないという面倒くさい性分があって、そのためには何センチで切ればよいかという計算から、さらに波板の幅を最大限に利用するために、波板の合計幅との兼ね合いなども考慮して計算しているうちに、あたまがこんがらがってきてしまいました。
最終的にははみ出した部分もカバーできて、なおかつ波板の最大有効幅にも対応して、おまけにほとんど端材も出ない長さを割り出すことができ、かなりスッキリしました。
波板選び
桟木がわたれば、あとは最終段階の波板のはりつけです。
屋根材もいろいろと選択肢があります。
家づくりのときはオンデュリンというフランス製の波板を使用しました。
オンデュリンは耐用年数50年以上ともいわれていて、材質的に破損もしにくく、上から枯れた木の枝がよく落ちてくる我が家にはぴったりの屋根材でした。
参照記事:ツーバイフォー(2×4)で12畳(6坪)ロフト付きの小屋をセルフビルド【屋根】
これが使えればベストなんですが、今回屋根を設置するスペースは明るく開放的な空間にしたかったので、透明な屋根材を考えていました。
しかし、オンデュリンには透明なものがないので、残念ながら今回は選択肢から除外。
透明な波板にもいろいろと種類がありますが、できるだけ長持ちしてもらいたいです。
耐候性にすぐれてるといわれるポリカーボネートは、ホームセンターの売り場には耐用年数10年と書いてあります。
しかし、束石をくれたじいさんの家のポリカ波板を使ったカーポートは、30年以上前に作ってから一度も張り替えていないそうです。
それを聞いて迷わずポリカにすることにしました。
キッチンには食材なども置いてあり、直射日光がガンガンでも困るので、色はブラウンを選びました。
ポリカ波板のはり方
オンデュリン以外の波板をはるのははじめてなので、ポリカ波板のはり方をネットで調べました。
はり方にはいろいろとルールがあるみたいですが、なかでも重要なのはこの3つです。
- 波板の重なりは2山半以上
- 桟木の間隔は500~600mm
- 釘の間隔は3~5山ごと
桟木の取り付け時には、少なくとも1と2は知っておく必要があります。
ポリカ波板の幅は655mm。
しかし、波板は重ねてはるので実際に有効な幅は狭くなります。
これを働き幅といいます。
ポリカ波板の場合、ルール通りに2山半重ねると働き幅は575mmです。
もし、ルールを無視して1山半重ねにすると、働き幅は605mmになります。
今回作っている屋根は垂木の間隔が600mm。
垂木の間隔は、ポリカ波板の寸法や働き幅のことを知る前に決めたのですが、偶然にも1山半重ねにするとちょうどよい寸法なのです。
垂木の本数は10本なので、ポリカ波板を横並びに9枚でちょうどよい計算になります。
(605mm×8)+ 655mm = 5495mm
しかし、桟木の取り付けのところでも書いたように、垂木の全幅とピッタリだと、余裕をもって少し長めになっている棟木と軒桁が少しはみ出してしまうのです。
すべての寸法がぴったりいっているのですが、ちょっとギリギリすぎです。
屋根は狭いより広い方がよいし、ギリギリよりも余裕があった方がよいので、波板をもう一枚追加することにしました。
ルール通り2山半重ねにして、10枚の波板の働き幅の合計はこのようになります。
(575mm×9)+ 655mm = 5830mm
最後の一枚は重ならないのでこのような計算式になります。
桟木を取り付ける段階で、この寸法を考慮に入れて長さを調整しました。
屋根の長さは垂木の2×4材(12f)の3640mmなので、6尺(1820mm)のポリカ波板が2枚でピッタリ。
こんな計算で、10枚×2=20枚の波板をホームセンターで買ってきました。
しかし、お気づきの方もいるかもしれませんが、これは計算間違いです。
私は重ねる分の寸法をまったく考えていませんでした。
重ね幅を100mm取るとすると、6尺を2枚だと長さが100mm足りなくなります。
さらに軒先もギリギリでは垂木に水がかかってしまうので、100mm突き出すとすると合計200mm足りません。
どうあがいても、ポリカの長さを追加する必要があります。
追加分の重ね幅も合わせて300mmの長さを延長することにしました。
6尺ポリカを追加で2枚買ってきて、6等分に切断。
ポリカの切断をするのためにわざわざ金切りのこを買ってきたのですが、いまいち上手く切れなかったので、グラインダーを使用しました。
これで必要なポリカ波板の枚数とすべての寸法がハッキリしました。
波板の固定には、傘釘を使用するのがもっとも一般的かもしれません。
しかし、傘釘は突風や時間の経過で抜けることがあるみたいで、値段は安いですが使う気にはなれません。
釘よりもビスの方が保持力があり抜けなさそうなので、できればビスを使いたいと考えていました。
波板用のビスがないか探してみたところ、ポリカ波板専用のポリカ波板ビスというものがありました。
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ホームセンターで実物を確認してみると、ビスがちょっと太くドリルで下穴をあけておかないと入りにくそうな感じがしました。
また、コーティングはしてあるものの、ビスの材質が鉄というのも気になります。
おまけに、結構いい値段がします。
他にもいろいろ物色して比較検討した結果、バラバラのパーツを組み合わせて使うことにしました。
そろえたパーツはこの3つ。
- ステンレスコーススレッド
- ステンレス亀座
- スポンジ
私的にはこれを使うのがいちばんしっくりきました。
耐久性を考えて、とにかくすべてステンレスを使いたかったのです。
ただ、この方法だとひとつひとつ手作業ですべて組み合わせなければならないのが少々手間です。
屋根の上で波板をはりながらやっていたら効率が悪そうなので、事前にすべて組み合わせておきました。
1個○円とかの内職をやっている気分でした。
波板を固定する際、釘の間隔は3~5山ごと、重なり部分は必ず固定するというのが一般的なようです。
はじめはこのルール通りに5山ごとにビスを打っていたのですが、重なり部分を必ずとめると、そこだけ3山くらいになってしまい、統一感がありません。
施工業者のなかには、「中5山が基本」というコメントを書いている人もいて、ためしに中5山(6山ごと)でビスを打ってみると、なんと重なり部分で間隔が詰まることなく、ずっと中5山で固定していくことができました。
というわけで、途中からはすべて中5山(6山ごと)にしました。
ポリカ波板は、シールがはってある方が耐候性がありその面を上にしてはるのが一般的なようですが、私が買ったものは両面耐候と書いてありました。
これなら表裏を間違えるという失敗もありません。
桟木の間隔は500~600mm。
6尺だと4列でちょうどよい感じです。
300mm延長した部分は1列というわけにはいかないので、間隔は狭いですが2列でしっかり固定しました。
波板のはり方では、軒の張り出しは10cm以下というルールもあります。
ルール通り10cm程度にしました。
波板のはりつけ完了です。
これで完成!といいたいところですが、最後にもうひと仕事。
軒桁の柱2本だけでは横揺れに弱く、屋根の上に乗って作業しているとき結構グラグラしました。
すべての波板をはったらだいぶ強度が出て、グラグラもかなり軽減されましたが、念のため筋交いを入れておきました。
筋交いは広葉樹の太めの枝を使いました。
こんな風に少しでも欠きこみを入れておくと、ただビスどめするだけより強度が増すはずです。
同じ要領で、3カ所に筋交いを入れました。
これでかなり安定感が増したはずです。
今度こそ完成です!
ジャジャーン♪
ジャジャーン♪
ジャジャジャジャーン♪
うれしくて写真を撮りまくってしまいました(笑)
材料と施工費用
最後に、ホームセンターで買ってきた材料とかかった費用をざっくりとご紹介しておきます。
- ポリカ波板6尺 22枚 15356円
- 2×6材12F 3本 4440円
- 2×4材12F 11本 7678円
- 2×4材6F 1本 348円
- トドマツ桟木 10本×2束 4760円
- ステンレスコーススレッド38mm 996円
- ステンレス亀座 1346円
- スポンジ 534円
合計 35458円
2万円くらいかと思っていましたが、レシート見て計算してみると結構お金かかっていました。
ちなみに、ポリカ波板はいろいろな長さがありますが、尺単価がいちばん安いのはダントツで6尺です。
私も今回ホームセンターでじっくり見比べてみて、はじめて知りました。
だから必要な長さが6尺よりも長い、あるいは短い場合でも、6尺を2枚つなげたり6尺を切ったりして必要な長さをつくった方がたぶん安いです。
私が住んでいる地域周辺では、ポリカ波板の価格がいちばん安いのはカインズホーム。
見比べたわけではないので確かではありませんが、地域NO.1みたいなシールがはってはりました。
6尺が1枚698円。
しかし、実はもっと安いのがコメリの通販サイト、コメリドットコムです。
コメリドットコムには、6尺が1枚598円というポリカ波板があります。
これはNON-JISというJIS規格に準拠していない製品なので安いのだと思いますが、JIS規格の製品と材質的には大きな違いはないようです。
私もコメリドットコムで買おうかと考えていましたが、買ってその日に作業するためにすぐに欲しかったので、ホームセンターに行ってしまいました。
近くのコメリの店舗に電話で聞いてみましたが、店舗にはおいてないみたいです。
少しでも安くポリカ波板を買いたい人は、コメリドットコムのNON-JISがベストです。
私も次の機会には買ってみようと思っています。
いまは新緑の季節。
5月の陽ざしが降り注ぎ、森の木々が青々としていて、爽快感抜群。
玄関を出たときの開放感がハンパないです。
ブルーシートから半透明の屋根になっただけで、こんなにも変わるのか!というくらい屋外キッチンスペースが快適な空間になりました。
これで雨漏りの心配もいらないし、玄関に雨が降り込むこともないし、あたまがシートにこすれることもないし、風でシートがバサバサ暴れることもないし、雪の重みでシートがちぎれる心配をする必要もありません。
「梅雨が来るまでに屋根をつくってほしい」
嫁さんにこう言われたのは、まだまだ手がかじかむ季節だったと思いますが、間に合ってよかったです。
追記:
屋根の完成から数か月後、軒桁に使用した2×6材がたわんできていることに気がつきました。
この長さを柱2本に2×6一本ではちょっと無理があったようです。
まだほんの数か月でこのありさまなので、時間が経てばにさらにたわんで行くことが予想されます。
どれだけたわんでいくのかこのまま見届けるのもおもしろそうですが、あまりにたわみすぎて修復不可能になっても困るし、できるだけ長持ちさせたいので、早めに対策を講じておくことにしました。
というわけで、柱を一本追加。
他の柱と同様に、これもこの土地で切り倒して置いてあった木です。
真ん中は流し台など調理場があり柱を立てられないので、必然的にこの位置になりました。
ちょうど2×6材を延長した継ぎ目の下あたりなので、これはこれで良い位置かもしれません。
これで大丈夫でしょう。