鋳物の薪ストーブを小屋の中に設置するまでの方法と苦労話

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自分で建てた小屋に住みはじめて2回目の冬。

ようやく薪ストーブが稼働しはじめました。

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昨年の冬は、それまでのテント生活からまだ建築中の小屋に住まいを移動したのが1月中旬。

暖房には石油ストーブを使っていました。

参照:すでに真冬。7ヶ月間のテント生活に終止符

この鋳物の薪ストーブは、実は昨年の冬にすでに購入していたのですが、なんだかんだやっているうちに冬が終わりに近づいてきて、もう今さら設置してもな~という感じになってしまい、結局一度も火を入れることなくこれまで大きな置物になっていました。

他に暖を取るすべがなければ、寒くなって凍える前になんとしてでも薪ストーブを設置するところですが、石油ストーブがあると小屋の中の暖房は一応それで事足りてしまい、おまけに今年の冬は暖冬ということもあって薪ストーブの設置が二の次になってしまいがちでした。

しかし、いつまでも置物にしておくのはもったいないので、この冬こそは稼働させると意気込んでいましたが、ようやくすべてのセッティングが整い、火を入れることができました。

さて、こうして薪ストーブを設置し稼働させるまでにはいくつかの苦労話があるんです。

まず、搬入。

我が家は道路わきで車をおりてから山道を200mくらい歩いて入って行ったところにあります。

薪ストーブは鋳物で重量が60キロ近くあります。

普通に持ち上げても、ちょっと浮かせて場所を移動させるくらいが精いっぱいで、とてもひとりで持ち運べる重さではありません。

昨年の冬、ホームセンターで購入し、台車で車まで運んでもらい店員さん二人に積み込んでもらったまではいいのですが、さて、帰ってきて車から小屋までどうやって運び込むか、それが最初の難関でした。

二人で運べばなんとか運べないことはなさそうですが、妻はそのとき妊婦でしたし、それ以前にこの起伏のある長い道のりを運ぶのは力自慢の男二人でもちょっと大変です。

他に手伝ってくれるあてもなく、しばらくのあいだ車に積んだままにしていました。

しかし、いつまでも車に積んだままにしておくわけにもいかないので、なんかよい方法はないかといろいろ考えをめぐらしていました。

60kgという重量は、考えてみれば大人ひとりと同じくらいです。

大人一人をおんぶして歩くことはそれほど大変なことではありません。

山小屋に荷物を上げるボッカは、数十キロの荷を背負って山道を歩いて行ったりします。

強力と呼ばれるようなボッカの達人の中には、100キロ以上の荷を背負って山を登っていく人もいるそうです。

60キロなら、やってやれないことはない。

そう思いました。

薪ストーブを体の前で抱えて持ち上げるととてもじゃないけど持ち上がりませんが、背負うことができればひとりでも運べるかもしれない。

そんな気がしてきました。

でも、どうやって背負うか。

頑丈な背負子を買おうかとも考えましたが、ものは試しと思い、薪ストーブにロープをくくりつけてみることにしました。

やってみるとなんとか背負えそうな感じでしばることができました。

よし、じゃあ背負ってみるか、ということで薪ストーブを車の荷台に置いたままロープを両肩にかけ、少し体勢を低くして背中に薪ストーブを乗せるような感じでゆっくり傾けて、薪ストーブの重さが背中にしっかりとかかった感触を感じて、前傾姿勢のまま立ち上がってみました。

おー!立てるぞ!

歩いてみました。

おーー!歩けるぞ!

手で抱えて持ち上げたときはほとんど持ち上がらなかったのに、背負ってみたらあら不思議。

ひとりで持ち上げて、しかも歩くこともできてしまいました。

これは行けそうだ。

体を起こすと薪ストーブの重みでそのまま後ろにひっくり返ってしまうので、背負うというより背中に乗せるような感じで前傾姿勢のまま山道を歩いて行きました。

私はテントや食糧を詰め込んだ重いバックパックを背負って山々を縦走したことが何度かありますが、その経験が活きているのか、重いものを背負って山道を歩く体の使い方を体がおぼえている感じでした。

こうして、60キロの鋳物の薪ストーブをなんとかひとりで小屋まで運ぶことができました。

やればなんでもできるもんですね。

自作のメガネ石

薪ストーブは当初から導入するつもりでいたので、煙突用のメガネ石を設置するための木枠も小屋の建築過程で作ってありました。

また、小屋の基礎をつくるときに使ったセメントや砂が余っていて、耐火ではないけどまあいいか、ということでそれを利用してメガネ石も昨年すでに自作していました。

製作過程はこんな感じ。

まずツーバイ材の切れ端で型枠をつくります。

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煙突を真ん中に置いてモルタルを流し込みます。

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完成

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完成したメガネ石は昨年から壁の木枠に設置ずみで、あとは煙突を通すのみという状態でした。

さて、この冬いよいよ薪ストーブを設置しようとメガネ石に煙突を通してみたところ、、、あれ、入らない。

製作過程を見てもらえればわかると思いますが、モルタルを流し込んで煙突の穴の型を取るときに、煙突をそのまま入れてしまい、ピッタリすぎるサイズになってしまっていたのが失敗でした。

しかも煙突には多少のゆがみがあるので、まったく同じ位置に差さないと通すのがむずかしいわけです。

それでも私はなんとか通そうと躍起になり、木で煙突の端をガンガンたたいて入れていく方法をとってみましたが、少しずつ入ってはいくものの、たたいた衝撃でどんどん煙突がベコベコになってしまいました。

これで入ったとしても煙突が使い物にならなくなってしまうので、中止。

このままではどうすることもできないので、設置してあったメガネ石をいったんはずすことにしました。

穴の大きさを広げることができればいいのですが、相手はカチカチに固まったモルタルです。

ヤスリで削ってみたものの、無謀な試みだとわかりました。

作り直すのはとてもめんどうなので、なんとかして穴を広げようとつぎに取った方法は、砕く、です。

穴の内側を金づちの反対のとがっているほうでたたいてみると、少しずつ砕いていくことができました。

一周まんべんなく少しずつ砕くことで、穴の大きさを広げることに成功!

煙突を余裕をもって通すことができるようになりました。

煙突の設置

煙突は横引きがなく縦だけで設置するのが理想ですが、横引きをする場合はスムーズに排煙させるために縦の長さに対してこれくらいの割合というのが決まっています。

しかし、まあ大丈夫だろう、と私は細かいことは気にせずにストーブの位置やメガネ石の位置、軒の長さなどの都合を優先して煙突を設置しました。

こんな感じです。

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室外煙突の固定は太めの針金を使ってみましたが、結構カッチリと固定できました。

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室内側の高さはグラインダーで切断して調節しました。

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煙突の接続はただはめただけだと抜ける危険性があるので、ドリルで穴をあけてビスどめをしておきました。

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これで薪ストーブ設置完了!ということで、さっそく薪に火をつけてはみたものの火が持続せず、炉内が煙で充満し、一回の使用でタールがべっとり付着するほどでした。

排煙がうまくいってないというのは明らかでした。

排煙がうまくいかなければ空気を吸い込まないので、酸素が送り込まれず消えてしまいます。

このままではストーブとして機能しません。

煙突の設置を正直ちょっとなめてました。

薪ストーブの説明書に書いてある煙突設置基準をあらためて見直してみることにしました。

横引き長さ(室内高さ1/3以下)に対して室外煙突の高さは1.5~2倍以上

これに対し、私が設置した煙突はこうなります。

横引き 直筒×1 半直筒×2

室内高さ 直筒×2

室外高さ 直筒×1

比率にすると、横引き2:室内高さ2:室外高さ1です。

煙突設置基準を完全に無視しています(笑)

排煙がうまくいくはずがありません。

これにこりて、今度は素直に煙突設置基準にできるだけ近づけてみることにしました。

メガネ石の位置は決まっているので、室内高さは変えられません。

変えられるのは横引きと、室外高さです。

横引きはまだ短くできる余地はありそうだったので、半直筒を一本はずして、そのぶんを室外の高さに追加しました。

ビフォー

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アフター

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変更後の比率は、横引き1.5:室内高さ2:室外高さ1.5。

これでもまだ横引きと室外高さが同じ長さです。

煙突設置基準では室外高さは横引きの1.5倍以上です。

横引きを短くするか、室外高さを高くするか、さらなる改善が必要です。

室外に煙突を出している場所は片流れ屋根の低い方側です。

(煙突は屋根の傾斜のある側面の壁から出すのが正しいことは知っていますが、薪ストーブを小屋の真ん中あたりに置きたかったので、この位置にしました。)

この小屋の構造上、室外煙突を立ち上げるには最低でも軒をかわせるだけの横引きの長さが必要です。

また、室内では壁からストーブを少し離すためにある程度の長さの横引きが必要になってきます。

つまり、これ以上横引きを短くする余地がないのです。

そうなると、室外高さを高くするしかないのですが、あまり高くしすぎても不格好だし、不安定だし、煙突の上には杉の枝もあるのでこれ以上煙突の高さを高くするのはあまり気が進みませんでした。

横引きを何とかしてさらに短くすることができないだろうか。

煙突設置方法のヒントをインターネットに探し求めました。

すると、壁からストーブの距離はそのままで、横引きを短くする方法があるではないか!

その方法は、煙突を斜めに設置するのです。

まったく思いつきませんでした。

煙突の方向を変えるのは90°のエビ曲を使って縦から横にするのが一般的ですが、これを45°のエビ曲を2個使うことで斜めにすることができます。

斜めの距離を長くすれば横引きはメガネ石を通る箇所だけですみ、極端な話、この方法ならストーブが壁からどれだけ離れていても排煙が滞ることはなさそうです。

これは目から鱗でした。

改良後、こうなりました。

ビフォー

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アフター

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比率は、横引き1:室外高さ1.5。

煙突を斜めに設置することで、ストーブを壁に近づけすぎることもなく室外煙突の高さを高くすることもなく、とてもスマートなやり方で、室外高さは横引きの1.5倍以上、という煙突設置基準を満たすことができました。

さっそく薪ストーブに火をつけてみると、排煙がスムーズになり、火が自然と持続して燃えるようになりました。

炉台

炉台も自作しました。

炉台に関しては苦労話は特にありませんが(笑)、参考までにご紹介しておきます。

床が畳なのでレンガなどを敷き詰めるのもどうかと思い、もっとシンプルに簡単に作れないかと考え、手っ取り早く石膏ボードを使うことにしました。

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サブロクの石膏ボードを3枚に切断して、重ねただけです。

石膏ボードだけだと水に弱いので、一番上にトタンをかぶせました。

これを木枠で囲み完成です。

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薪の乾燥

秋のはじめころから暇を見つけては薪ストーブのために少しずつ薪割りをしてきたのですが、広葉樹の薪は2年乾燥が基本なので、たった2、3ヶ月の乾燥ではまだ水分が抜け切れていなくて、燃やすとジュージューと水分が蒸発する音がします。

煙突を改良して排煙がスムーズになったとはいえ、薪がこんな状態なのでいまいち火に勢いが出ません。

薪の乾燥期間を考えると、薪ストーブの本格始動は来シーズンからのほうがよいのかもしれません。

まあ、いろいろ手こずりましたが、何はともあれ薪ストーブ設置完了しました。

私は薪ストーブを使うのははじめてではなく、火のつけ方などの扱いには慣れているつもりでしたが、鋳物の薪ストーブははじめてで、しかもこれは吸気口が何個もあったりしていまいちまだ使いこなせていない感じがします。

ボタンひとつですぐに点火する石油ストーブの手軽さに慣れてしまっているので、薪ストーブが使えるようになった今でもつい石油ストーブを使ってしまいますが、時間にゆとりがあるときや、とても冷え込んでいるときなどに薪ストーブをつけています。

薪ストーブは石油ストーブと違って、ふんわりと体を包み込むような温かさです。

石油ストーブは温まる範囲が狭く近くにいないと温かくないですが、薪ストーブは小屋全体をまんべんなく温めてくれる感じがします。

例の輻射熱ってやつでしょうか。

体の中まで温かさが浸透していくようです。

この温かさ、幸せな気分になります。

コメント

  1. のりのすけ より:

    のりのすけでーす(。-∀-)ニヤリ

    久しぶりにブログを拝見したら僕の大好きな火炎ネタじゃないですか(ノ∀`)アチャー

    少しだけコメントさせて頂きます。

    煙突の引きを強くするにはロケットストーブの原理を利用すると簡単ですよ(๑•̀ㅁ•́ฅ✧

    要するに暖かい排気が通る筒状のものを外から断熱して上昇気流を発生させるわけですから、室内の煙突部分を周りから断熱すればいいという事です。

    ロケットストーブの原理の実験で煙突にガラスウールを巻き付けている動画がYouTubeにあります、室内煙突部分の1部にガラスウールを巻き付ければヒートライザーになりますので引きが強く出来ますよOK(•ω<)✌

    • Homare より:

      のりのすけさん

      お久しぶりです。現在は排煙は順調ですよ。煙突の断熱方法は二重煙突しか知りませんでした。グラスウールを直接巻くということができるんですか。毎度お役立ち情報ありがとうございます!

  2. のりのすけ より:

    スレートの煙突を使っていたのも同じ考え方からだと思います、とするとずーっと昔からロケットストーブってあったとも言えますね(´ー`*)ウンウン

  3. まっちゃん より:

    はじめまして、滋賀県で古家をセルフリノベしながら、暮らしている者です。古家に住んでから、3年目です。次の冬までには、薪ストーブを設置しようと思っています。

    2階建ての家ですが、煙突が外に出る所は、平屋ぐらいの高さの屋根しかなくて、外に出る煙突の縦の高さを取れないので思案していました。煙突の配管の方法(室内の横引きを斜めに変更)がとても参考になりました。ありがとうございました。

    • ほまれ より:

      ブログ読んでいただきありがとうございます。

      ブログ記事がお役にたてるのはうれしいです。

      お知らせいただきありがとうございます。